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総長候補者が発表された(1面)

総長候補5人が決定
代議員会 青山副学長らを選出
21日に全学での投票

蓮實重彦総長の任期満了に伴う総長選挙の候補者を決定する代議員会が12日、本郷で開催され、青山善充、石井紫郎、小林俊一、佐々木毅、廣渡清吾の5氏を選出した。次期総長は21日に実施する全学の選挙権を持つ教授、准教授、講師による投票で決定する。(2面に関連記事)

代議員となるのは、各部局長のほか、学部から7人ずつ、独立研究科、附置研究所等から3人ずつの合計138人。投票は2段階式で行われる。第1回目は「候補者として適当と認める者」二人を連記して投票する。更に、第1回目で名前が出た者について第2回投票(3人連記)を行い、その上位5人を候補者とする。代議員会の得票数は明らかにされていない。候補者はあくまで目安で、21日の本選挙では代議員会で選出されなかった者に投票してもよい。
新総長は27代目。任期は来年4月から4年間となる。

 各候補者の経歴は以下の通り(五十音順)。

青山善充(あおやま・よしみつ)=1939年生まれ。東京大学副学長、同法学政治学研究科教授(民事手続法)。62年東京大学法学部卒。65年から法学部助教授、77年から教授で現在に至る。92〜94年評議員、96〜98年法学政治学研究科長、99年から副学長。

石井紫郎(いしい・しろう)=1935年生まれ。東京大学名誉教授、国際日本文化研究センター研究部教授。59年東京大学法学部卒。62年から法学部助教授、72年から教授(日本法制史)。84〜86年評議員、91〜92年法学政治学研究科長、93〜95年副学長。96年から現職。

小林俊一(こばやし・しゅんいち)=1938年生まれ。東京大学名誉教授、理化学研究所理事長。62年大阪大学理学部卒。75年から理学部助教授、85年から教授(物理学)。93〜95年理学系研究科長、97〜98年7月副学長。98年から現職。

佐々木毅(ささき・たけし)=1942年生まれ。東京大学法学政治学研究科教授(政治思想史)。65年東京大学法学部卒。68年から法学部助教授、78年から教授で現在に至る。90〜92年評議員、98〜2000年法学政治学研究科長。

廣渡清吾(ひろわたり・せいご)=1945年生まれ。東京大学社会科学研究所長、同教授(ドイツ法)。68年京都大学法学部卒。73年から社会学研究所助教授、91年から教授。98年から社会科学研究所長。2000年に所長再任。

 

総長候補者の経歴をまとめた記事(2面)

総長への道㊦
総長候補の経歴
法学部出身3人に

21日の投票で選ばれる新総長は、来年4月の就任以降、独立行政法人化問題をはじめとした懸案に立ち向かうことになる。選挙は、代議員会で選ばれた5人の候補者以外にも被選挙権があるが、5人を軸に展開されるとみられる。候補者のこれまでの実績を検証した。(本文記事1面)【総長選挙取材班】

青山善充・副学長は、「東京大学の経営に関する懇談会」の座長として、改革案の(原文ママ)取りまとめた。昨年夏に国立大の独立行政法人化問題が浮上してからは、「東京大学の設置形態に関する検討会」「国立大学制度研究会」の座長を務め、問題への対応にあたっている。

石井紫郎・名誉教授は、1990〜91年度の法学政治学研究科長・法学部長在任中に、全国で初めて大学院重点化を実施。92〜94年度には総長特別補佐・副学長を務める。文部省の国立大独立行政法人化に関する調査検討会議のメンバーでもある。

小林俊一・名誉教授は、93〜94年度に理学系研究科長・理学部長を務め、大学院重点化に伴う教育研究体制の整備や、柏キャンパスの新大学院構想にあたった。97年4月〜98年7月までは副学長として新領域創成科学研究科の立ち上げを担当した。

佐々木毅・大学院法学政治学研究科教授は98年〜99年度に同研究科長・法学部長。「経営に関する懇談会」では経営体制ワーキンググループの主査を担当、「設置形態に関する検討会」では比較検討ワーキンググループ主査として、法人化の問題点を分析した。

廣渡清吾・社会科学研究所長は98年4月より現職。国立大学制度研究会の委員として、東大の法人化案の策定に加わった。総長選の候補者は学部長経験者の中から選ばれるのが通例で、研究所教授の選出は現行制度になってから初めてだ。

東大の総長選挙は立候補制をとっておらず、候補者の所信表明なども行われていない。2千人以上の教官を抱える東大では、教官が候補者について判断材料となる情報を十分に持っていないケースも多い。そのため、選挙が「人気投票」のような性格になったり、また部局の執行部の意向で投票行動が決まってしまうという声もあるが、今回は抜本的な制度改革は行われなかった。

ただ、どの部局の票がどの候補者に流れるかは結果を大きく左右する。候補者は、5人中4人が文科系部局の出身で、またそのうち3人が法学部教官(経験者)だ。こうした候補者の分布が、選挙の行方に微妙な影響を与えるそうだ。
選挙は全学の教官が本郷キャンパスに集まって行われる。過半数を獲得する候補が出ずに第4回の決選投票までもつれ込んだとしても、午後7時頃までには新総長が決定する見込みだ。

 本紙では、ホームページ(http://www.utnp.org=現在は無効)で総長選の開票結果を速報する予定です。